2016年5月18日水曜日

継承

「株主のために企業価値を最大化します」

そんなのは詭弁だ。そういう詭弁を好む会社の株主の構成を見てみるといい。個人株主の中に役員以外の従業員も含めどれだけ自社株の保有者が入っているか、企業は公開すべきだ。結局、株価を釣り上げることによって得をするのはどうせその会社の人間なのだろう。

株式会社の本質は株主にはない。東インド会社の設立経緯までさかのぼってみるといい。

企業が存在する唯一の目的は社会にとって価値ある事業を作ること。それに伴って良質な雇用環境を創出し善良な市民の生活を守ること、それが本質だったはずだし、それ以外にはあり得ない。

計画性のある事業の先行投資の資金調達のために、起業家は財務余力のある資産家に出資を募る。金額が大きいと一人では負担しきれないから複数人に投資をお願いする。経営者が明らかな遂行能力不足だった場合に出資の損失拡大を未然に防ぐために経営者を交代させる権利を出資者は当然として持つし、原則は金額が大きい順に大きな権限を持つ。事業が成功したら、応分のお礼を最低限として金銭でお返しをする。

投資家はその経営者が生み出そうとしている価値への共感と経営者への信任によってお金を出し、また経営者は雇用も含めた社会的価値の創出のために死力を尽くす。価値ある事業は必ず関与者に適切に利益をもたらすし、必然的に一定の拡大再生産と余剰資金が生まれる。

今改めて日本の偉大な経営者たちが人生を賭して夢見ていた社会の実現がどんなものだったのかを探究し、我々がそのバトンを受け取る時だと強く感じる。

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