2011年8月16日火曜日

NBAプロジェクト始動!アメリカ出張(3)ThunderスポンサーHertz本社訪問

Wyの計らいで全世界にレンタカー事業を展開しThunderにも協賛をするHertzの本社に行き、協賛関連の責任者であるVice Presidentに30分程度ヒアリングする機会をもらいました!




総括
他のアイコンがない地域こそプロメジャースポーツはその存在感を発揮し、B to Cビジネスにおいては大きなプロモーション、ブランドイメージの醸成に繋がる。その中でも特に差別化が難しく、コスト競争になりがちな業界に有効であると考えられる。アメリカでもスポンサリングの経済性の定量的説明は難しい様であり、あまり明確な回答を得ることができなかった。Vice Presidentの回答からもスポーツが人間形成に役立つという見解は、ほとんどのアメリカ人の共通認識であるという様に思われる



【インタビュー詳細】
Q. 何故Thunderにスポンサーをすることになったか
A. 強豪と差別化するためである。かなり大きな金額(具体的な数字について言及ありましたが、ここでの公開は控えます)をスポンサーしている。資源会社が子会社として空港付近のレンタカービジネスを展開しているが、彼らの資金は潤沢であり、力勝負では勝てない。ゴールの上に看板を出しているが、この前のプレイオフでは18回もテレビに映り、世界中への露出(Exposure)を獲得することができた。中央の液晶スクリーンスコアボード4面のうち2面の看板を買っているが、他の2面が大企業の為、大企業と肩を並べているというプライドを社員に醸成することにも役立っていると考えられる。自然を大事にすることをプロモートするGreen Weekの協賛枠を買っており、自然に優しいブランドイメージの醸成、CSRの観点からも大きな役割を果たしている。

Q. Thunderが来て地域は変わったか
A. 大いに変わった。みなさんもご存知の通り、オクラホマにはあまり売りと言えるものがなかった。イメージと言えばカーボーイ、馬、バイソン等、パッとするものがあまりない。Thunderがこの地域に来たことによってオクラホマという名前が世界中に知られることになったし、オクラホマに本社があることを強みにすることができる。中国にNBAが積極的に展開していることからも中国との接点も持てるかもしれない。

Q. 協賛を行う際にどのように社内を説得し、協賛結果を評価するのか
A. それがもっとも難しい点であり、何度も協賛の提案を否認されたこともあった。評価も難しく、テレビ上に写った回数や、Thunderが勝ち進んだときの高揚感等々から社員の一体感を醸成している、というような説明をしている。

Q. 日本ではスポーツから予算がカットされている。お金を出させるとしたら、スポーツのどのような社会的側面を強調するか
A. Disciplineやチームワークを学ぶ機会を若者に提供できることであり、スポーツ以上にそれらを学べるものを知らないし、それがスポーツの価値だと思う。

以下は、個人的な反省として。
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英語ということもあり、深い議論になるとなかなか伝わらない所があったものの、Wyが適時サポートをしてくれたことによって何とかなった。HertzレベルのグローバルカンパニーのVice Presidentともなればそうそうと話をできる機会がある訳ではないので、「英語力」+「アメリカのスポーツビジネスへの理解」があればもう少し深い話をきけたのに、という悔しい部分もあり。

30分という限られた時間で一般論をきいてもしようがない。価値の高い情報を引き出すには高次元でのビジネス英会話能力が必要な事、それに自分が辿り着くにはまだまだまだ努力が足りないことが分かった。英語をつかって「聞いて内容が理解できること」「日常会話ができること」「深い議論ができること」「交渉で思った通りに相手を動かすこと」それぞれの段階には大きな大きな隔たりがある。ホンキで世界に通用するビジネスパーソンを目指す上で自分にとって必要なことが、バスケを通じて実感・経験できたのは個人的にも大きな収穫だった様に思う。

時系列が前後しますが、次回はThunder Officeの訪問の様子をレポートします!


2011年8月8日月曜日

NBAプロジェクト始動!アメリカ出張(2)ThunderパートナーRadio Station訪問

3日間のオクラホマの旅はてんこ盛りだったので数回に分けてレポートを書きたいと思います。

とりあえず以下がスケジュールで、今回は1のラジオ局訪問をお届けします。

1日目
Los AngelsからOKCへ。ThunderのCommunity RelationのマネージャーのWyの旦那さんのFredric(a.k.a Coach Passion)と合流、そのままWyの自宅へ

2日目
1.Thunderのメディアパートナーであるラジオ曲のプログラムマネージャーを訪問
2. Thunderのオフィス訪問
3. Thunderのチームショップで買い物
4.ダウンタウンで食事とその際にお店のマネージャーにインタビュー
5. thunderのスポンサーのHertzのVice presidentにインタビュー
6. Fredricのコーチしているチームの試合を観戦
7. Fredricのパーソナルコーチングを見学

3日目
8 Fredric, Wyの家族と一緒に映画鑑賞
9. Shown Kempの奥さんに電話して日本に来て欲しいことを説明
10. Fredricのコーチしているチームの試合を観戦
11. FredricとWyにプロジェクトについてのプレゼンテーション
12. WyへのNBAに関する質問
13. FredricとWyのインタビューを撮影

1.Thunderのメディアパートナーであるラジオ曲のプログラムマネージャーにインタビュー

Fredricの粋な計らいで、Western Styleのスポンサーシップやパートナーシップの考え方、コンセプトを知ってほしいということで、Thunderとかかわりのある企業の人たちと30分程度インタビューの時間をもらえることに。

2日目の一発目は、ラジオ局のPerry Broadcasting Companyを訪問し、プログラムマネージャーに3インタビュー。ラジオは、ほとんどのビジネスパーソンが車で通勤するアメリカ社会において大きな影響力を持っており、地域への情報発信として欠かせない存在。



【総括】
Thunderの存在は他の観光名称や特徴があまりないオクラホマにおいてはメディアにとって極めてポジティブな要素であり、Thunderが来たことが多大に良いインパクトを与えているのは疑う余地がなかった。ただし、NBAのマーケットが巨大であり、国際的にも放送される程のプレゼンスを持っているからこそ経済性も社会性も強いインパクトをもたらしたのであって日本バスケに単純に置き換えられるものではない。アメリカは抱える社会問題(本を読めない子供がたくさん存在するといった教育上の必要性、多様性から生じるコミュニティの分離と対立)に対してスポーツを通じてうまくソリューションを提供できているからアリーナの再開発等々の税金が絡んだ公共事業も動いていることも見逃せない事実である。

このインタビューからは、新規クラブチームが事業を拡大していくには地方に有力なメディアプレゼンスの拡大をすること、市民からの支援を得ながら効果的に展開するは地域特有の問題を特定、分析し、その解決に取り組むことが重要である事が考察として挙げられる。



【インタビュー詳細】
質問1
Q. Thunderとパートナーシップを組んだ理由は
A. 音楽を多く取り扱っているが、Thunderはアーティストにとって大きなメディア露出のチャンスとなる。音楽とプロスポーツビのジネスプロモーションの仕方は”人”が中心のビジネスのために大きな類似性があり、音楽の場合、ミュージシャンが販売の際にサイン会をしたり、クラブイベントを開催したりと顧客とのコミュニケーションが販売に大きく影響する。顧客との現実接点を持つThunderはコミュニケーションのVehicle(媒体)として非常に役に立つ。

質問2
Q. Thunderが来て街は変わったと思うか
A. 言うまでもなく大きく変わった。経済的にもThunderが来たおかげで都市部の再開発が大きく進んでいるし、社会性の面でもThunderの選手が読書プログラムをしたり、コミュニティイベントを開催したりとコミュニティに大きな貢献をしている。

質問3
Q. 協賛をするときの予算決めや結果の評価はどのようにしているのか
A. 私の場合はプログラムマネージャーの為に予算決めをするというよりは、プロモーションの依頼があったときに予算をもらい、その中でどのように実行するかという役割を主に担っている。例えばナイキがシューズのプロモーションを依頼してくる際はナイキが全額費用を負担してくれる為、うちの会社が支出をすることはない。ナイキの目的と予算に合わせ、そこでThunderの選手とタイアップすることによって効果を高めたりしている。

質問4
Q: プロモーションの設計をするときに意識していることは何か。フレームワークなどはあるか。
A. クライアントの要望による為、これだと一言でいうことはできないが、例えばナイキの例で言えば Pre-exposure(先行露出)とExclusiveness(排他性)を考慮し、Thunderの選手をうまく絡めることによってプロモーション効果を高めている。新しいシューズを販売に先行してThunderの選手に履いてもらい、ラジオでもそのことを積極的に宣伝する。オクラホマ州のあるショップでのみ先行販売を開始し、顧客の購買意欲を高める、等。

質問5
Q.スポーツはアメリカ社会にとってどんな具体的な機能を持っていると思うか
A. 一つは個人レベルで言えばDiscipline(しつけ、自己統制)を学ぶところであるのに加えて、チームで何かを成し遂げるということを知る素晴らしい機会だと思う。加えて、スポーツを頑張れば名門大学でスカラシップを取れるというような教育との接点も見逃せない。社会レベルで言えばスポーツはSocial Outlet(外部社会との接点)であるということだ。例えば、アメリカではHome Schoolといって子供を学校に通わせずに両親が教育することもできる。その場合、Social Outletを持たないと子供は完全に社会から孤立してしまうが、スポーツでクラブチームなどに参加すれば社会からの孤立化を防ぐことができる。


Fredricが日本式の挨拶を撮りたいといってきかないので、マネージャーさんにもお付き合い頂きました(笑)

ラジオ局の中を見学!


次回はThunderのオフィス訪問をレポートします。休日出勤していた元NBA選手とも遭遇!

2011年8月5日金曜日

NBAプロジェクト始動!アメリカ出張(1)

今、オクラホマシティのThunderのマネージャーで元SuperSonicsインターン時代のマネージャーのWyjuanaの家にいます。

会社の休暇がなかなか確定しないこともあって航空券がギリギリまでとれず、オクラホマ直通のチケットが取れなかったため、昨晩はロスの大学時代の先輩の家に泊めてもらい、今日オクラホマ入りをしました。

【ジャグジー付の先輩の家の中庭】

iPhoneが半壊状態の為、最初は空港でピックアップしてもらえるか不安だったのですが、無事、旦那さんのFredricに会うことができ、オクラホマシティのダウンタウンやThunderのホームコートに連れて行ってもらって今は落ち着いているところです。Fredricによると、オクラホマシティはThunderを連れてくることをきっかけに都市開発を進めているそうで、Thunderが来てからかなり街並みも変わったようです。ただ、まだチャンピオンシップを戦うにはチームも都市もまだまだ整備が必要だそうで、FredricいわくまだオクラホマシティとしてNBAのチャンピオンになるには準備が足りないといっていました。



【アメリカに来たらお決まりの馬鹿でかいハンバーガーとスイーツ】

残念ながら今はNBAはロックアウトしているため、NBAプレーヤーとは会えないのですが、Thunderのビジネスパートナーと合わせてもらったり、Fredricの指導している姿を見せてもらったりと、色々といい経験ができそうです。

 【WyがくれたThunderがPlay offカンファレンスファイナルまで行った時のオリジナルTシャツ】

【Sonics時代のKDのサイン入りユニフォームをバックにSonicsの複数選手のサイン入りボールを持ち、ThunderカンファレンスファイナルオリジナルTシャツを身にまとい、さらにバスパンもSonicsのオーセンティックというNBA尽くしの一枚】

Thunderのパートナーに会わせてくれるというのも、どういう戦略でアメリカのスポーツビジネスが成立しているか、実際のスポンサーに会って、スポンサーをするメリットやその効果について自ら聞いて理解してほしいからという何ともナイスな計らいです。今後、NBA関係者と交渉していくにあたってかなり有意義に経験になるに違いありません。

色々なものを持ち帰ってこられるよう、このチャンスをモノにしてきます!