2010年10月4日月曜日

日本のバスケットが世界一になる日(2)

最終回の記事第2弾。22歳の僕、生意気なこと書いてますね。でも、根幹の想いは変わっていません。

日本の強みに関して他にも強調すべき点は社会人になった今、思うところは色々ありますが、とりあえず大学生の時に強く感じていたこととして、今回はそのまま掲載することにします。今、どう思っているかはまた今度書きます。
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今の日本に足りないのは、本気で世界一を目指す意識です。世界一、この言葉を聞いてしり込みしてしまった人も多くいるかもしれません。でも、これ以上限界のない“世界一”を目指さなければそれ以下にも到達しないと思います。日本のどれだけの部活動のコーチが、世界一の高校のチームを目指しているでしょうか。世界に通用する選手の育成を目指しているでしょうか。日本のバスケットの華が高校のウィンターカップであり、そのコーチたちが日本一だけを目指している限り、日本のバスケットが世界に通用する日はやってきません。

僕は世界選手権で勝つことだけが世界一の条件だとは思っていません。世界選手権で負けたにもかかわらず、僕は已然としてアメリカのバスケットは世界一だと思っています。なぜなら、バスケットに関わる人たちがバスケットに熱中できる、そしてバスケットに携わって生きていける環境はアメリカが世界で一番だと思っているからです。そして何よりも、アメリカ国民が胸を張ってアメリカが一番と言えるプライド自体が、それを象徴していると思います。たとえ、世界選手権に負けた事実が、アメリカ人の態度を傲慢に見せたとしても、他の国にそのように胸をはれる人間は、そう多くないのは事実だと思います。

もちろん競技力は一つの尺度です。世界の中での競技力を上げることはとても重要なことです。しかしながら胸を張って世界一だといえるには、世界選手権で好成績を残すことは必要であっても、単なる一つの条件に過ぎないのです。日本のバスケが世界レベルだ、日本のバスケが世界一だと言える状況、理想像、そしてそれを達成するまでの道のりがどれだけ日本バスケット関係者の中にあるのでしょうか。そしてどれだけ共有されているのでしょうか。その中に僕は日本のスポーツが持つしつけの効果を、日本バスケット界の強みとして、強調していくことは必須であると思っていますし、もっとそこに日本のバスケット界、ひいてはスポーツ界は注目すべきです。

アメリカから盗める良いものはどんどん盗んで吸収していく、それは重要ですし、そのために僕も留学を決心しました。しかしながら、良いものと悪いものの区別をせず、盲目に吸収してしまっては、日本の良さすら失いかねません。AND1などの流行から、アメリカのストリートスタイルのトラッシュトークをやたらとまねしたり、だらしない態度をとったりするようなプレーヤーが増えている気がします。AND1はAND1で、いわゆる公式の試合とは別のものですし、しっかり区別さえしていれば、トリッキーなプレーを見てあこがれ、まねできるように練習を励んだりすること自体は特に悪いことだとは思っていません。別にダボダボなシャツを着てプレーしてもいい、ファッションを意識したグッズをつけてもいい、プレーにトリッキーなプレーを織り交ぜてもいい。でも練習後のモップがけ、管理人さんへのありがとうの一言、そういった本当に大事なことだけは失わないで欲しいと思うのです。それを失ってしまったら、日本のバスケットは現状を維持するどころか、どんどん衰退していくことでしょう。アメリカで、働く、プレーすることに限定しても、競争の非常に激しいアメリカで、日本人であることの長所を理解していなければ、土俵に立つことすらままならないでしょう。

3ヶ月、NBAの現場で学んできた僕からの、皆さんへのメッセージは、アメリカに留学すること、アメリカのスポーツの現場で働くこと、そのもの自体は決して、自分自身、そして日本のバスケットボールを何も変えてはくれないということです。重要なのは、冷静な目で以って、アメリカと日本の相違、強さ、弱さを客観的に分析しながら行動し、日本のバスケットをどう変えていくかを常に脳みそがちぎれるくらいに考えて、それを“実行”することです。NBAで働くのは、アメリカのバスケット界では何が起こっているか、その真実により近づけるだけで、日本を変えようとする実際の行動に勝ることはないのです。それは選手にしてもしかりです。アメリカで単にプレーしただけでは、あまり価値をもちません。アメリカの現場での体験を通じて、その後に自分をどう成長させるのか、戦略を立て、そして実行することに意味があるのです。もし日本のバスケットをよき方向に導いていくことが目的であるのならば、アメリカで働くことの意義、それは日本を変える上での触発を得ることに他なりません。僕自身ソニックスでの経験を基に何か行動を起こさなければ、何一つ日本バスケット界に良いものをもたらすことはできないのです。明確な目的無き渡米は、単なるお金と時間の無駄に終わります。日本でできることばかりをアメリカでして、本質的にほとんど成長していない日本人を数多く見てきました。「なぜ自分はアメリカに行くのか」そのイメージを渡米以前から持っているかどうかが、後の成長、もっと言えば、人生自体に大きな違いを生みます。日本という環境から逃げるために、渡米を選択してはなりません。

これから皆さんと、理想の日本のバスケットボール像、そして現状把握、そのギャップをどう埋めていくかを共有し、真剣にバスケットボールの改革に取り組んでいきたいと思っています。本気で日本のバスケットが世界一になる日を夢見て、これからもどんどんアクションを起こしていくので、よろしくお願いします!

これまで「どこがチガウの?ホントに違うの?日米バスケ比較」をご愛読いただき、本当にありがとうございました。これからも皆さんに新しい視点を提供できるように頑張るので、楽しみにしていてください。どこかバスケットボールの現場で読者のみなさんとお会いできる日を楽しみにしていますね!